2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

数学を学ぶ上で大事なこと

かつて名古屋グランパスエイトを率い、現在はアーセナルで指揮を執るアーセン・ベンゲル監督は、サッカーにおいて大事なことは何かという質問に、「サッカーにおいて、最も重要なのはバランスである。そして、それは人生においても同じである」と答えている…

数学をたのしむ

古典落語を楽しもうと思えば、噺を聞くだけでもよいが、噺の時代背景や前提となる人々の日常の営みを知っている方がより楽しむことができる。クラシック音楽を楽しもうと思えば、演奏を聞くだけでもよいが、その曲が作曲された時代背景や当時の状況、作曲家…

数学という文化

山口昌哉先生は、「数学がわかるということ 食うものと食われるものの数学」のなかで、数学は文化であると述べられている。 例えば、日本中の美術館の絵画をぜんぶ燃やしても良いかと聞かれれば、絵画に詳しくなくても、一度も美術館に足を運んだことはなく…

数学的自然について

私もまだまだきちんとわかっていないのだが、数学的自然が自分の中の畑に育っている状態とは、それはそう考えたら良さそうだね とか そういうものを扱うのは確かに良さそうだね とか思うことではないだろうか。 私の場合だと、 それはそう考えたら良さそうだ…

数学の研究の話

多変数複素関数論のほとんどを独力で築きあげた岡潔先生は「数学の研究は農業に似ている」と述べらている.「農業では成長する力は種の方にあって人間はせっせと世話をする.数学も同じで,成長する力は問題の方にあるから,これという問題を決めたら後はせ…

四方山話3

結局のところ、数学を学ぶ意味とか数学の学問的価値を、ある特定の方向に意味付けすることは、その意味に価値を見いだせない人を数学から遠ざけるだけでなく、ともすれば、その意味に沿わない数学的営みを生業としている人の仕事を否定することにもなりかね…

四方山話2

いつのことかもどこでかも記憶は定かではないが,「音楽とは何かを考えるのは音楽に飽きた証拠である」というのを聞いたことがある.曰く,音楽に夢中な時は何も考えずに楽器をかき鳴らし,時間を忘れて練習するものであって,「音楽とは何か」を考える時間…

四方山話

何のために数学をやるのかという疑問は実際に数学を生業としている身でもふと頭に浮かぶ時がある.今となっては数学そのものが研究対象となり,数学的な美しさを味わうとか真理の探究とかそういった人間の好奇心と知的欲求が根源となっていることもあるだろ…

数学の勉強方法 -質より量 vs 量より質-

「数学の勉強方法」でネット検索すると、概ね2つの流儀がある「質より量」派 とにかく量をこなして、基本的な解法のパターンを暗記する。応用問題といえども、基本的なことの組み合わせで解けるから、たくさんの解法のパターンを暗記すれば大抵どうにかなる…

「受験数学」と「数学」

私はいわゆる「勉強」と「受験勉強」は全く別のものだと考えている.したがって数学も「受験数学」と「(学問としての)数学」とは違うものと考えている. 「受験数学」は 高校入試や大学入試において限られた時間の中で,答えのある問題を素早く正確に解く…

「関数のこと」

数学ではよく関数をつかう.大学までいくと,関数それ自身が研究の対象となる(特別な性質を持つ関数の集まりを考えその性質をしらべる)こともある. 関数とは,関係する2つの数字の対応関係のうち,ひとつが決まればそれに対してもう一方がただひとつきま…

「無限を扱う力を解き放て」(証明と数学の力)

有名な話だと思うが,「カラスは黒い」ことを証明するには世界中すべてのカラスを調べて,全部が黒いことを示さなければならない.到底無理な話である. 数学の世界では無限にたくさんのものについて,成り立つ性質を調べることができる. 例えば, 「偶数の…

数学の勉強方法 -補足-

前の記事で、文章題の練習には新聞記事を要約するのがよいとかいた. 少し補足すると、数学の文章題を解くには、導きたい答えを導くために,文章中の必要な情報 "だけ" を読み取る(不必要な情報を頭の中から蹴飛ばす)必要がある. 例えば植木算なら,植えら…

数学の勉強方法 -再考-

大事なことなのでもう一度. 数学は自然科学の言葉である.だから数学を勉強する時には,”数学という新しい言語” を学ぶつもりでやるべきである.まずはお手本(教科書)をノートに写す. 定理や公式はなぜ成り立つのかを写しながら考える.定理なら,それ…

「想像と現実の間で」(役に立つ数学はどのようにして生まれるのか - 複素数の話 - )

あなたは 子供のころ,有名になった時のためにサインを書く練習をしたことはあるだろうか ヒーローインタビューで何を答えるか想像したことはあるだろうか 宝くじで1等が当たったらに何に使おうか考えたことがあるだろうか いずれも実際にそうなるかはわか…

分数の割り算の話

分数の割り算では,割る数の分母と分子を入れ替えて掛け算する.この理由を説明するのには割り算の意味を知っている必要がある.割り算には幾つかの意味があるが,そのうち,1つあたりの量(比)の意味を考える; 例: 6個のりんごを3個ずつ袋に分けます.…

「わかるとはどういうことか」(割り算の話)

「分かる」ということは,人によっても異なるだろうし,同じ人でも問題によって異なることがある. 私が院生の頃,ゼミで商空間の話を聞く機会があった.それまではよくわかっていなかったのだけれど,その時の発表を聞いて「わかった」という感覚を得た.そ…

情報と民主主義(数学以外の話)

裁判においては,検察は徹底的に被疑者にとって不利な証拠を揃え,罪状を確定し,遺族の処罰感情や社会的制裁いも含めてより重い刑罰を下すようにと訴える. 弁護士は,徹底的に被疑者にとって有利な情報を揃え,検察の証拠を覆そうとする,あるいは罪状を認…

「わかる」という感覚

数学をやっているとつい考えてしまうのが「分かる」とはどういうことかということである.定義でも定理でも良いがその”意味がわかる”という感覚は少しでも数学を学んだ人なら感じたことがあるだろう. 最近,その感じ方が人によって違うのではないかと思うよ…

「このブログについて」(今更ですが...)

数学に関することで,思ったことや勉強のヒントになりそうなことを書くブログです.私の知識と時間と労力の許す範囲で更新します. 勉強については,数学が得意な人やできる人ではなく,苦手だけどなんとかしたいと思っている人や,何が面白いのかわからない…

噛み合わない議論

議論の噛み合わない人の特徴として 1.必要条件と十分条件を取り違えて(あるいは意図的に入れ替えて)相手の揚げ足をとる 2.仮定を飛ばして結論だけを相手に迫る の2つが多く見受けられる. どちらも数学的,あるいは数学でなくとも論理的な思考の訓練…