「無限を扱う力を解き放て」(証明と数学の力)
有名な話だと思うが,「カラスは黒い」ことを証明するには世界中すべてのカラスを調べて,全部が黒いことを示さなければならない.到底無理な話である.
数学の世界では無限にたくさんのものについて,成り立つ性質を調べることができる.
例えば,
「偶数の2乗は必ず偶数である」
ことを示すには次のようにすればよい:
n を整数とすると偶数は 2n とあらわせるから
2n × 2n = 4n^2
4n^2 は2で割りきれる整数であるから偶数である.
地球上のカラスは多分無限にはいなくて有限のはずである.それでもすべてのカラスを調べるのはとてもできる気がしない.しかし,数学の世界では無限のものについて正しいことがわかる場合がある.
これは、「無限を扱うことができる」という数学の力のひとつである.